私が昔働いていた保育園で、入社した時すでに休職している保育士がいました。
結局、私の退職まで一度も会ったことがなく、なぜ休職しているのかいつ復職するのか、なぜ退職しないのかもわからなかったのですが、この時「保育士は休職できるんだ」ということを知りました。
- 体調がすぐれない日が続いている
- 骨折などの大けがをした
- 家族に長期の入院予定がある
- 精神的に限界なので休みが欲しい
- 保育士を続けるか考える時間が欲しい
こんな状態にある人で「退職はしたくないけど休職って誰でもできるの?」と疑問に思っている人のためにこの記事では保育士の休職について解説したいと思います。
職場に休職をお願い出る前に休職がどんな制度なのかきちんと理解しておいてくださいね。
休職って?
まず、理解すべきなのが「休職とは法的な効力のある制度ではない」ということです。就労者に与えられた権利ではなく、一般的に1ヶ月から数年単位の長期的な休みを「休職」と呼んでいます。
要するに決められた条件があって、それに当てはまれば誰でも休職できるということではなく「職場の善意によって取得できる欠勤」と言った感じです。なので休職制度がない職場もたくさん存在します。
休職できる条件や期間は職場によって違うので、実際に休職を申し出る場合は職場との話し合いが必ず必要になります。
一般的な休職の種類
病気・傷病休職(私傷病休職)
仕事中に起きたことが原因ではなく、プライベートが原因で数日の欠勤で完治しない病気や怪我を負った場合です。私傷病休職とも呼ばれます。1ヶ月以内の場合であれば有給を消化したりしながらただの欠勤扱いとし、回復次第出勤するという場合も多いです。
しかしシフトの関係や本人の希望があれば「来月末までは休職」など事前に期間を決めて休職扱いにすることもあります。
就労中に起きた傷病については後述の「休業と休職の違い」を参考にしてくださいね。
事故休職
名前の通り事故にあった場合の休職です。これも勤務中や通勤中の事故ではなく、完全にプライベートな時間に起きた事故の場合です。
自己都合休職
事故都合休職には様々な場合があります。
- 家庭の都合
- 精神的な問題 など
他にも出向休暇などいくつかの休職がありますが、保育士の休職は上記3つの場合がほどんどです。
欠勤と休職の違い
明確な定義はありません。欠勤の種類として休職が存在する感じです。
しかし、一般的には1ヶ月を超える事前に分かっている休みは「休職」、突発的なものや1ヶ月以内の休みは「欠勤」という場合が多いです。
休業と休職の違い
休業とは、ざっくり言うと「休む権利」のようなものです。休職と違い、条件に当てはまれば取得することができる休みです。具体的には以下の内容が労働基準法で定められています。
- 業務上の負傷・疾病の療養のための休業
- 産前産後の休業
- 使用者の責にきすべき事由による休業
- 育児休業
- 介護休業
これは労働者の権利として与えられているので、労働者が申請すれば職場が拒否することはできません。
休業中は基本的に無給ですが、労災給付を受けることができます。また使用者の責任によって休業せざるを得ない場合も休業手当が支払われます。
休職中の給与
職場によって独自の規定がある場合を除き、基本的に休職中は無給です。しかし、雇用関係は継続中なので社会保険や健康保険は継続されます。
でも、今まで保険料は給料から天引きされていたはずなので、無給になると言うことは自己負担分を貯金などから支払う必要があります。
復職後の待遇
これが退職ではなく休職を選ぶ一番のメリットかもしれません。いつ復帰できるかわからない場合など、一旦退職してしまった方が気が楽だと感じる人もいると思います。
しかし、退職してしまうと今までの勤務年数や昇級など白紙に戻ってしまいます。
休職であれば、休職期間は勤務年数に加算されないもののこれまでの勤務年数は維持できるので、復職し、いずれ退職する時の退職金に違いが出てきます。
毎年少しずつ上がってきたお給料がそのままなのは嬉しいですね。
保育士の休職
では保育士が実際に休職したい場合、具体的にどうすればいいのでしょうか。
保育士が休職できる条件
まず、働いている職場に休職制度があるかどうかの確認が必要です。休職制度がある場合、就労規則などに条件や休職期間などが書かれているのでまずは確認してみましょう。
保育士の休職理由例
では、休職制度があった場合具体的な休職理由はどんなものがあるのでしょうか。
体調不良・怪我
身体や心が不調で数日の休みでは回復できない場合です。毎週休んでいたり体調が不安定な時に、退職ではなく復職を前提とした場合に休職を利用します。
仕事が原因でうつ病になった場合は労災認定がおりれば休業として扱われ労災給付も受けられますが、これは職場側の同意や様々な証拠提出などが必要なので簡単なことではありません。
また、保育士で多いのは椎間板ヘルニアなど、腰や膝の不調でまともな保育ができない場合にも休業を利用します。
人間関係
職員間の人間関係は数ヶ月仕事を休んだところで解決しませんが、保護者や園児とトラブルがあった場合、進級するまでの間や卒園するまでの間休職することで対処できる場合があります。
職場のことは好きでも、園児や保護者と大きなトラブルが起きてしまい同じ空間にいることが難しくなってしまった場合に有効な方法です。
家庭の都合
家族の病気や怪我で看病が必要な場合や、家庭内でトラブルが起こり長期の休みが必要になった場合です。
特に子供が小さい場合、子供の入院には親の付き添いが必要です。看病と仕事の両立はできないので、退院するまでの間休職制度が利用できるとありがたいですね。
休職するより退職の方が良い場合
何らかの理由があって少し長めの休みが欲しい、だけど退職はしたくない。そんな場合に休職制度が利用できるととてもありがたいですよね。
退職してまた転職するとなると、転職活動や新しい職場に馴染むまでの期間も負担が増えます。なので、休職制度がある職場であれば休職制度を上手に利用して欲しいと思います。
でも、「とにかく休みたい」とその場しのぎで休職してしまうのはお勧めしません。
休むことで問題が解決する場合は「休職」、休んでも解決しない問題は「退職」これが鉄則です。休んでも解決しない問題の具体例をご紹介します。
職員の人間関係
- いじめにあっている
- 扱いがひどい
- 無視されている
- 園長が独裁者 など
こういった問題は数ヶ月休職したところで何も解決しません。むしろ退職・復職へのハードルが高くなってしまいます。休職は退職と同じくらい話し合いが必要です。
休職で気力を使い果たし、今度は退職を申し出る。どう考えても負担が増えるだけです。また復職後も休職中に迷惑をかけたと言う罪悪感がのしかかります。
「ペアの先生と合わない」程度なら休職もいいかもしれません。
保育方針
子どもへの対応や保育内容などに違和感がある場合、それは働きながら解決するしかありません。またそれで解決しない場合や納得できない場合は保育士として転職をすべきです。
保育園にはそれぞれ保育方針や運営方針があり、合わないことが悪いことではありません。また働いているうちに保育感のズレが出てくることもあります。
保育士にとって自分の保育感と合う職場で働くことはとても大切なことです。
自信がない
- 子供が言うことをきてくれない
- 臨機応変に動けない
- 職員と仲良くなれない
- 失敗が多い など
保育士をしていると自信を失う瞬間はよくあります。自信喪失が蓄積していくと笑えなくなったり保育が楽しく無くなることもあります。そんな時に「休みたい」と思う気持ちはわかりますが、残念ながら休んだからといって自信が回復することはまずありません。
「休んでいる自分」「周りに迷惑をかけている罪悪感」でより自信をなくしてしまいます。
保育士を長く続ける上で休職制度は時にとても協力な味方となります。しかし、「休職したい」と言ってすぐに「いいですよ」となることはほとんどありません。
退職と同じで理由を聞かれ、原因を探り解決策を提示されます。また場合によっては退職を勧められる可能性もあります。
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