初めはちょっとした注意だったり指導だったものが、徐々にエスカレートして「行き過ぎた指導」や「虐待」になってしまうのはとても怖いことです。
最近ニュースでも騒がれている「保育士の行き過ぎた指導」についてアンケートを実施しました。
とても考えさせられる内容でした。ぜひ参考にしてみてください。
Q1.保育士の「行き過ぎた指導」を目撃した事がありますか?
私が今まで働いた園には「そこまでしなくても…」と思う保育士が必ずいたので、想像より少ないなと思いました。皆さんはどうですか?
一言に「行き過ぎた指導」と言っても人によってその線引きは変わってくると思います。そこで次の質問をしてみました。
Q2.「行き過ぎた指導」の定義はなんですか?
先ほど「はい」と答えた人と「いいえ」と答えた人両方に「行き過ぎた指導」の定義を聞いてみました。
子供の為を思って、子供を傷つけない方法ですることが指導であって、自分の苛立ちをぶつけたり子供に恐怖を与えるようなやり方は「行き過ぎ」と思われて当然です。場合によっては虐待です。
個人的に「保護者の前で出来ないこと」と言うのは、漠然としていますが感覚的にすごく分かりやすいなぁと感じました。
Q3.「行き過ぎた指導」と感じた具体的な内容を教えてください
3つ目の質問では「行き過ぎた指導を目撃したことがある」と言う20人にその具体的な内容を教えてもらいました。
どれも読んでいて心が痛くなる内容ですね…
行き過ぎた指導の原因と対策
「行き過ぎた指導」と言ってもその内容は様々です。
・熱心さゆえの指導
・子供を傷つける指導
・強引な指導
・正しいと思えない指導
事と次第によっては「行き過ぎた指導」ではなく「虐待」に近いものもあります。そんな問題のある指導がどうして行われるのでしょうか。
行き過ぎた指導の原因
保育方針
温かく家庭的でのびのびとした保育をする園もあれば、規律を重んじルールを徹底させる園もあります。園の保育方針と個人の考えにズレがあると「やり過ぎでは」と感じる原因になります。
苦手な給食をオエッとなりながらでも完食させる方針、私はそこまでする必要性を感じません…
保育士の教育不足
子供に何かを伝えるには、その子供の個性や発育、性格やタイミングを見極めることがとても重要です。しかし、これは経験を積まなければ出来るものではありません。こういったことも含めて、保育士に対しきちんと保育方法を教育しなければ、怒鳴って恐怖心から従わせたり、罰を与えることで行動を抑制したりするようになってしまいます。
ベテラン保育士が怒鳴ったり罰を与えるタイプだと、新人保育士も正しい保育を身につける機会が少なくなってしまいます。最悪の場合、同じように「怒鳴って威嚇すればいい」と思ってしまいます。
上からの圧力
ペアの先生や先輩など上の立場の人から「子供達にこれをやらせろ」「これが出来ていない」と厳しく言われると「やらせなきゃ」と必死になりつい子供に厳しくなってしまうことがあります。
私も新卒の時「先生のクラスは給食のお残しが多い」と言われ、焦りから子供に「食べなさい!」ときつく当たってしまったことがあります。
トイトレの進みが遅いと指摘さた時も、トイレの失敗に対して神経質になってしまったことがあります…。
出来ないことだけを言われると焦りしか生まれず、悪循環です。指摘するなら具体的なアドバイスや悩みの聞き取りも同時に行ってほしいものです。
余裕のなさ
これは誰もが経験したことがあるはずです。子供が同時に泣き出したり、行事前の多忙な時期だったり、疲れていたり。余裕のない時に子供達が思うように動いてくれないと、ついきつくなってしまうことがあります。
心のにも身体にも余裕があれば、子供一人一人と向き合ってその子に適した保育が出来ますよね。
ストレス
保育自体のストレスだけでなく、保護者対応や職員間の問題、またはプライベートなストレスを抱えているとイライラしてしまい言動がきつくなる事があります。
薄給、重労働、長時間労働、責任の重さ、女性の職場など、元々ストレスが多い職場なので、上手にストレスを発散させることが重要です。
保育士の人間性
保育士資格を取るのに人間性までは問われません。もちろん採用の段階である程度の人間性は見ていますが、この保育士不足の状況では経験不足や人間性が欠けている人材でも採用せざるを得ない場合もあります。
・感情的
・短気
・自分勝手
・意地悪
こう言った性格の保育士の保育は見ていて「それはやり過ぎでは」と感じることも多いはずです。
子供に接する仕事なので優しさで溢れた人材が理想ですが、実際は「性格悪!」と感じる保育も多々存在します…
行き過ぎた指導をさせない対策
行き過ぎた指導は子供や保護者を傷つけたり、信頼関係にも影を落とします。行き過ぎた指導には原因があり、それを園全体で回避する事が大切ではないでしょうか。
保育士への正しい指導と教育
まず何と言っても正しい指導と教育です。保育士資格を持っているとは言え、実際の保育では分からないことだらけです。
新人保育士に子供との接し方や向き合い方を丁寧に指導すべきです。また、手本となる保育士がたくさん育つ事で保育レベルの底上げが可能になります。
いきなり1人担任を任されて、見よう見まねで保育を覚えていく人の方がきっと多いですよね。
見守りの目
園長や主任、ペアの先生や先輩、保護者や地域の人が一体となって「子供が傷つくような保育がなされていないか」見守ることも大切です。保育士に悪意がある場合もあれば、一生懸命ゆえの行き過ぎた指導になっている場合もあるからです。
客観的な立場から保育を見守ることが重要です。
モンペや口うるさい先輩なども多いですが、そういう事ではなく「冷静な目で保育を見てくれる人」が必要という事です。
正当な評価
これはものすごく大切な事です。一生懸命やっても給与は上がらないし好きな時に休むことさえ出来ない。残業や持ち帰りをしても給与に反映されない。やって当たり前でミスが起きた時には強く責められる。責任が重く大切な仕事なのですから、それなりの見返りはあって然るべきです。
「保育士」という仕事に誇りを持てるよう、正当な評価がされるべきです。
最後に…
本来素晴らしい保育ができる素質があるのに、環境に恵まれずギリギリの体力と精神力で保育を続けていると、問題のある保育をしてしまうことがあります。
私も新卒の頃、周りの目や焦りから子供達にきつくあたってしまった事があります。その言動に対しても「これはダメだ」「あれはやめろ」と注意は受けましたが「じゃあどうすればいいの?」という疑問に対しては適切な指導をしてもらえず辛い日々でした。
先輩や上の立場の人間は新人保育士に対して適切な指導をすることも重要な仕事です。上手くできないことや教えてもらうことに「迷惑をかけている」などと思う必要はありません。
もし今辛い状況で頑張っている人がいるなら、指導環境が整った人間関係の良い職場へ変わることも検討してみてはいかがでしょうか。
コメント